http://cosmos.jakou.com/030/030-01.htmlお題12こめ。
しょうがないさ。
ちょっとやるきのもんだい。
ごめんね。
それなりにちゃんとかきましたから。
それなりに。
すんません追記忘れてました。12,哀切
12哀切
その悲しみは誰のものか
誰にも理解しえぬ
それが悲哀で悲しみで
墓場。
それだけで重苦しい空気を漂わせる場所に、その男は立っていた。
雨が降る。
長い雨は男の体を打ち、冷やし、凍えさせる。
しかし、男は関係なく、その墓を眺める。凝視する。
墓に書いてある名前はごく平凡な男性の苗字。名前も他人から見れば多くの群集に埋もれてしまうような没個性な名前だったといえる。
だからといってその人間がただの背景だったことには繋がらない。
男は一人、墓場に立つ。
なんのために?
誰のために?
自分のために?
それが分からないからこその直立であり、不動。
自分の心の置き場所をなくした者に、この世界は無関心だ。
数十分か、数時間か。
どれだけにしても、墓の下に埋められた人間に捧げる祈りとしては長すぎる時間だ。結局それは男自身の自己満足に過ぎないかもしれない。
しかし、男にはそれすらもわからないし決められない。
悲しみを悲しみとするか、怒りと変えるか、はたまた喜びと変えるか。その選択は各個の意思だが、男の選択は、悲しみを哀しみにし、それすらも消し去る選択。 自分の悲しみを哀れみに変換し、死者への哀悼と捧げる。
問題の先送りに過ぎない行為は、彼の中の、それに気づく心とせめぎあい、答えを出せずに数時間が経過する。
彼の死は、確実に男の心を蝕んでいた。
まだ、立っている。
彼を見つけたのは、埋葬作業の後。土葬の終わった時から、3時間が経過した後だった。
埋葬した後、各自が花を手向け、その後の祈りを捧げ、そして各々が散っていった。その素早さが、死んだ彼の価値の現出だったのかもしれない。哀しい事だが真実の一つには違いない。
私はその他の大勢とともに花を添え、祈りを捧げ、そしてここに残った。
数分後、雨が降ってきた。
時間があれば落ち葉を掃いていこうかとも思っていたのだが、それも叶わなくなり、引き上げた。
その時、ふと、彼の姿を見かけた。
彼は小雨の降る中、傘もささずに墓碑を眺めていた。
いや、あれは睨んでいたといってもいいような目つきだったが、とにかく彼はその場で墓碑を見ていた。
気になった。
彼は、私の彼なのだから。
しかしその場の彼は、話しかけるのもはばかれるような雰囲気を持ち、立ちすくんでいた。
私は、、、、、逃げた。
部屋に戻り、彼が帰ってこないことに心配し、いい加減雨が強くなってきた頃になり、墓場に再び訪れることにした。どこかの店にでも入って一杯煽っているのだろうと想像していたのが明らかな楽観だと気づいたのは、既に彼の姿を見つけてからだった。
一瞬で見つかった。
雨の中、他に人間は誰もいない。
この土砂降りの中でわざわざ参拝する物好きはそうはいないだろう。
ここにいるのは、死者と、彼だけだ。
死んだ人間は人間ではない。そんなものは誰にでも理解できることだが、理解できるコトと納得できるコトは違う。そんなものは価値観の相違。私と彼の違いは理解できるコトが納得できる私と、理解できたことでも納得できない彼のすれ違い。
ただ、そのすれ違いは、一歩間違えれば彼を凍死させるかもしれず、そのことに私が気づかなかった可能性も存在させていた。
危うすぎる綱をひとりでに渡り、彼は墓を見る。
その哀しげな姿に、声をかけずに入られなくなり、
「――っ!!」
叫び、今までの静寂を打ち破るかのように傘も捨て飛び出した。
彼を呼んだ声は言葉にならず、かすれた叫び声だけがこだました。
奔る、走る。
一歩一歩が墓場の土を踏みしめ、濡れた大地はぬかるみとなって下半身を泥に染める。関係ない。そんなことは関係ない。
一心不乱に駆け寄る。
そこまでの道のりは長いようで、実際は数秒だった。
その数秒の間、何も考えずに、彼の行動を止めることだけを考えていた。
そして、
たどり着いた彼の体は冷え切っていた。
後ろから抱きつく。
「何・・・、してんのよ」
彼を暖めるように手を握り、その手を自分の手で覆う。
「何で、こんなになるまで、ボーっと突っ立ってんのよ!!」
怒りが体を突き抜ける。度を越えた感情は怒りに変換されて外に出る。
こんなときに怒るしか出来ない自分を恥ずかしく思う。
でも、彼が、かわいそうだ。
彼の手を無理やり掴んで、体をこっちに向ける。抵抗は全くといっていいほどなく、その軽さが逆に恐怖を助長させた。
「アンタは、まだ生きてるんだよ!!」
叫びが彼の耳に届いているかはわからない。もう顔は下に伏せてしまった。
哀しくて、頭にきて、それでも、彼が心配で、でもその顔をまっすぐ見れなくて、わがままが一人歩き。
「アンタは・・・こっちの人間なんだよ」
もう無理だ。
頭を彼に押し付け、背中で腕を結び、絶対に離さないようにする。
彼の体はそれでも冷えていて、冷たい体温が私に伝播する。
感傷も、伝播する。
「死んでないのよ・・・。まだ生きてるのよ?」
彼は今すぐにでも倒れそうな体をしていた。
やつれたように見えたのは錯覚。
第一顔をまともに見てないんだから分かるはずが無い。
でも、その時私は、彼が憔悴しきっているのを肌で感じた。
自暴自棄になっているんじゃないかと心配しすぎるくらいまで心配した。
「逝ったのはアンタじゃない。わかってるでしょ」
欲望が、心を割る。
「見てよ! 私を見てよ! 死んだ人間なんかより私を見てよ!」
自分でも非道だと思う。だって、彼にとって一番大切な人が死んだのだから。そんなのを自分ごときがこっちの世界に引きずり込もうとする。
資格なんて問われたら無いに決まってる。
でも、
彼に見て欲しいのは確か。
彼に消えて欲しくないのは確か。
彼にこの現実しっかり見てほしいのは確か。
確かなものしかないのだから。
いいよね。
「戻ってきてよ! いい加減、もうこっちを見てよッ!!」
私は叫んだ。
それこそ墓場の果てまで届くくらいの声で。
「・・・ん、ああ」
彼が、しゃべる。
「・・・わかってるさ、・・・分かってる・・・」
その声が余りに切なくて、哀しくて、声が止まった。
「大丈夫。・・・うん。大丈夫だ」
「ほ、本当に・・・?」
「ああ、大丈夫だ」
安心させる。心から私を安心させるような響きは、正真正銘の。彼だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ごめんな。」
その一言は、涙を、雨にした。
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12哀切です。
哀切の意味が分からなくて辞書調べました。
なんとなくで使ったんで話の無いようにかみ合ってないような気もしますが、
感じで無理やり当てた雰囲気もあるのでそこら辺はご勘弁。
しばらく間開いちゃったのは、しょうがないさ。
まあそこらへんは気分。
すまないね。
ではまた。
- 2006/11/01(水) 22:36:00|
- 創作小説
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