電撃文庫と堕落生活*でんだら*

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暗い30のお題 11,心臓

http://cosmos.jakou.com/030/030-01.html

お題11こめ。



なんか土日かけて書いたからいつもより長い。
ただし、いつもよりってコトで、そこまで長くは無いよ。

待たせちゃって、まってた人にはごめんなさい。
別にどうでもい人には、はいどうぞ。

的な感じで。じゃあどうぞ。

11,心臓
11心臓

  心は何処に宿るのか
  心臓か、脳か、それとも
  何処にもないのか

 吸われる。
 魂ごとすべて自分の中から流れ出してしまうかのような、擬似的な死を体験する。
 それほどに恐怖を感じ、しかしそれが甘美な快楽を呼び込む。
 自分と相手が混ざり合って、全部一つになってしまえばいいのにと本気で思う。
 それほどに、その行為は危険に過ぎた。
 それほどに、その行為は魅力的だった。

「あぁ・・・ん」
 首筋に二つほどの吸血痕を刻みながら、私の体から血が吸い取られる。
 牙が突き刺さり、そのかすかな痛みとともに嗜虐的な快楽が始まる。
 ぢるぢるぢる。と、
 喉の奥から音を立て、彼は私の血を啜る。
 その音は私の体を通して耳まで届き、自分が吸われていく様子を伝えてくる。
「くぅ・・・」
 体に異物が刺さっているという異常な事態に、精神ではなく肉体が拒絶を起こすが、そんなものはそれを上回る背徳感に上書きされて、それ以上の情報を伝えてこない。
 時間が過ぎ、
 ギリギリまで血を吸われ、
 くらくらとした頭で、
 絶頂を迎える。
 もはや性行為に取って代わったこの儀式は、それ以上の快楽をもってわたしたちを柔らかく、しかし確実に締め付ける。
「・・・ふぅ。ん、大丈夫か?」
 貧血気味になってふらつく頭に、彼の声が聞こえて来る。
 考えがまとまらない中で、とりあえず返事をする。
「大丈夫だよ。全然平気」
 上辺だけ繕ったように言った言葉だが、それでも本心には変わりない。
 吸血鬼である彼と生きていこうと決めたのだから、そんなことはたいした苦痛ではないし、行為の後の余韻に過ぎないと私は考えている。
「そうか・・・なら大丈夫だな」
 彼は私を心配してくれる。それだけで十分なのに、私を愛してくれさえする。
 身勝手な妄想と言われたところで私が感じるものが私の全て。問題なんて無い。
「・・・」
「・・・」
 沈黙が場を制し、二人の吐息だけが聞こえる。
 私の首筋からは一筋の血が流れていたが、それは吸い残しであって、傷がふさがっていないわけではない。彼が吸血行為をした痕は不思議とすぐにふさがってしまう。そういう性質なのだろうと自分で勝手に納得している。
 そんなわたしたちにとっては既にどうでもいいことを考えながら、心地よい沈黙を続けていると、

 ふいに、彼が、言った。


「・・・君の心臓、食べてもいいかな?」


 少しの沈黙。
「・・・いいけど、私死んじゃうよ?」
「ん、・・・ああそうか。すまないな、無理言って」
「大丈夫だよ別に。気が向いたら言ってね」
「ああ、そうするよ」
 そうして、
 沈黙は再び訪れて、いつの間にか私は眠りについた。


 自己嫌悪にさいなまれながら街を歩くのは、更に陰鬱な気持ちになるだけだと再確認する。
 全く何を考えていたんだ私は。
 部屋に彼女を一人で寝かせ、逃げるように私は部屋を飛び出した。
 確かにあの時は行為の後でぼーっとしていた。しかしだからといって、あの発言は不用意すぎる。
 自分に自分でダメ出ししつつ、小さな声でぶつくさ文句を言いながら歩く様は、あからさまに怪しい。
 しかし、そこは日本。街を歩く男がどんなことをしてようとも、誰も気にしない。
 吸血鬼が一人、悩みながら歩いていく。
 もともと、吸血行為というのは、その人間の魂を奪うという意味を持つ。元来吸血鬼は人間を吸い、その上で吸い尽くし、血の一滴たりとも残さぬようにして、完全にその人間を自分にする。
 吸血鬼に吸われた者が吸血鬼になるなどそんなのは迷信に過ぎない。大体その理論は全人類を1年間で吸血鬼にして余りある。吸われた者は干からびて死んでいたのが正解だ。
 しかし最近になってからは人間との共存を図るために、生き延びるだけの最低限の分量を吸うことにしていたのだが・・・。
 私はどうやらそれでは満足できないらしい。
 心臓は人間の核であり心が宿っているとも言われることがある。そして何より、すべての血液が着する場所であり送り出す場所だ。これ以上に魅力的な部位は人間の中で他には見当たらない。
 そして、私はそれが欲しい。
 そのみずみずしい血液を舐め、薄く頑丈なその筋肉に牙を立て、いびつな球体の中にたっぷりと残されている血液を思う存分味わいたい。
 感情は抑制が効かないが、理性がそれを何とか抑えていた。
 だがそれも限界らしい。
 私の中で最も重要な位置を占める彼女を、間接的に殺そうとしていた。
 いや間接的にではない。それこそ、殺さなければ絶対に出来ないことをしようとしていたのだ。
 あまつさえ彼女はそれを許可した。私にそれを許してしまった。
 咎が外れないことは保障できない。今にも殺してしまうかもしれない。
 しかし、それは私の感情であって意思ではない。
 後悔と自責は私を永遠に苛み、孤独は永く私を苦しめるだろう。
 それは、一体、どれほどの苦痛なのだろうか。
 しかし感情を抑えるのは限界に近い。
 もう、これ以上、我慢は出来ない。
 どうすれば。
 ・・・と、
 一瞬顔を上げ、
 あたりを見回し、
 それこそ、
 簡単なことに気が付いた。


「なんだ、心臓ならいくらでもあるじゃないか」





 思いついてから行動をはじめるのは、たいした時間もかけなかった。
 夜の12時を過ぎ、あたりにいるのはこの時間を仕事の時間とするものばかり。
 しかしその時間でも女子高生らしき人物がうろついている。
 彼女たちは親との連絡を殆どしてないと判断する。
 だからこそ、
『消えたとしても発見が遅れる』
 更に言えば、腐ったような腐臭がするオヤジなどよりも、若い女の心臓のほうがいいと思うのは道理。
 結局、目当ての人間は、2人で歩いている制服姿の女子高生らしいのに決めた。
 二人はきついかもしれないが、同時に消すほうが、見つかりにくいはずだ。
 そう考えて、声をかける。
「やぁ」
 ナンパを装い、目を合わせる。
 幸いと、私の容姿は良いほうだ。自分で言うのはおかしいかもしれないが客観的事実だ。
 それが功を奏してか、彼女らの視線は私の目に向かう。
「・・・」
 そしてそれっきり何もしゃべらなくなる。すでに魔眼にかかった彼女たちは、
 餌。

 人気の無い公園につれてきて、一人をベンチに座らせる。
 もう一人を奥の雑木林まで連れ込み、そして。
 儀式という名の食事が始まる。
 首筋に牙を突きたて、啜る。
 ぢるぢるぢると、音を立て、数回喉を鳴らしてから、すぐに口を離す。
 もう既に栄養補給は済ませてある。味見程度にし、後は吸うだけの行為で快楽を貪り食う。
 何の反応も無い。
 だが、全く問題は無い。逆に好都合なことしかない。
 さて、本命にいくか。
 相手を掴んでいた手を離し、地面に横たえさせる。
 右手に集中。
 左手は首を押さえ、
 無抵抗のままに、
 一瞬にして、
 私の右手は彼女を貫いた。
 
 ぶよぶよとした肉塊が空気に触れる。
 右手に掴んだその感触は、なんとも言えず、あたたかく粘着質だ。
 心臓から体へとつながる幾重にも重なる血管は、そのことごとくを引きちぎられ、持ち主との関係を完全に立った状態で私の右手に納まっている。
 美味そうだ。
 そう思うことは何の問題も無いと自分自身で暗示をかける。
 心が求める。
 だから。遠慮もせずに、その肉塊を噛み砕いた。

 味はなんとも言えない。
 なんとも言えず、誘惑を誘う。
 いい加減頭がおかしくなってきたかと思うほどに、脳が混乱し始める。
 ここまで、ここまで違うものなのか、と。血を吸うだけだということがどこまで簡単でまだまだ序の口であったことをまじまじと見せ付けられた。
 もう堕ちた。
 これ以上の抑制は効かない。
 もう。
 彼女への欲望は臨界点にまで届いた。越えた。
 私は私の一番大事な人間を、自分の手で、自分の快楽のために、殺す。
 その未来は既に今決定した。
 それほどまでに、魅力的な味だった。



 私は歩く。
 街を歩く。
 自分の横をすれ違う人間。
 前を横切る人間。
 後ろから追い越す人間。
 そのどれもに今は興味が無い。そんな興味などさっき亡くした。
 今この心にあるものは彼女のみ。理性の無くなった頭で考えるのは彼女を食べること。
 それだけが脳髄でリフレインし、何度も何度も自我に呼びかける。
「心臓を、心臓を」
 そう、心が繰り返し、頭が繰り返し、体はそのために動く屍。
 その考えこそが、既に真の吸血「鬼」だということに気づいているのだろうか。
 自問は自問ではなくただの独り言で、それさえも心臓へのプロセスにしかならない。
 浮浪者の動きで、街を歩き、街道を抜け、細い道に入り、彼女のいるビルへと足を運ぶ。足を運ぶのではなく、足が運ぶ。自分を、奈落へと突き落とすために。
 そうして、
 彼女のビルが見えてきて、あと数十メートルというところで、


         胸を何かに貫かれた。


 一瞬の出来事に頭が回らない。
 赤い血しぶきは視覚に入り、痛みは数瞬遅れて伝わり、そのすべてを理解した瞬間、体は動いた。
 背後にいる誰かの腕が、自分の体に刺さっている。
 その事実のみが回転し、痛みも苦しみも全て通り越して、本能が背後の敵を攻撃する。
 左足を軸に左回転。右胸に刺さった相手の手が肉を抉るが、そんなものは気にしない。殺す。体が動いて左手を裏拳気味に振り回す。コロス。それこそ神速というにふさわしい人間には反応できないスピード。ころす。自分の存在を消そうとする敵に対しては消す動きしか生まれず。殺す。音速超過の拳は気流を生み
 しかし、その拳は人間には反応できないスピードによって止められた。
 驚きは隙を生み
 隙は死を生み
 死は消滅を意味する。
 慣性を止められた体はそれ以上回転することなく、敵が自分に突き刺した手が、そのまま引き戻され、その往復上で私の心臓を奪っていった。
 心臓を奪っていった。
 ・・・声が聞コエル。
「自業自得ということわざをご存知?」
 シッテイル。自分のした業が自己に返るコト。
 振り向くと、とても美しい女がそこにいた。
「どうも私の餌にちょっかいを出したみたいね?」
 女は女ではなく人間ですらなかった。
 その右手に握られてるのは自分ノ心臓。
「血を吸うまでは許せたけど、核を食べてしまなんて、私でもしたこと無いのよ?」
 赤々と照ル心臓は、さっき見た人間のモノトハ違う。
 それが、私が吸血鬼ナノダとシラシメル。人ではないのだと責めたてる。
「だからその分は貴方が補いなさい。目には目をっていう言葉もご存知かしら?」
 彼女の言葉ハもうきこえない。言葉ではなく音でしか。
「本当なら彼女もいただこうかとも思ったけど、貴方だけにして置いてあげるわ。彼女は貴方とは関係ないものね」
 コエは音に変わり、もう、なにも、聞こえない。キコエナイ。
「吸血鬼の心臓ってどんな味がするのかしらね? フフフ・・・」
 もう。
 のこっているのは
 意識の断片と、
 彼女への愛と、
 彼女への食欲と・・・。




        食欲と・・・。









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相変わらずオリジナル設定抜群。
もうなんでもいいよ設定なんか。思い付きだもん。
久しぶりに長めに書いてみましたが、詩的過ぎてやってられねー

とかそんなことより更新送れちゃってあーもー。みたいな。
すんません全部奈須きのこのせいですぼくのせいじゃありませんほろーがおもしろすぎたんですてすとなんかどうでもいいんです。

またいつものペースに戻れるといいな。
じゃあ次でまた会いましょう。


ではまた。
  1. 2006/10/25(水) 21:06:20|
  2. 創作小説
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