電撃文庫と堕落生活*でんだら*

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暗い30のお題 4,傷

http://cosmos.jakou.com/030/030-01.html

お題4つめ。


うーん。
微妙だ。


・4,傷
4.傷

  痛いのは体で
  傷むのは心で
  両側から押しつぶされた私は何処へ逝く

 無言で蹴られるのは慣れてはいるが、慣れているからといって痛くないわけではないのは自明の理であり、つまりは痛いのであって、抵抗すると言う選択肢も考えられなくもないが、そうするとさらに痛くなりそうなので甘んじて今の地位を受け入れるとしよう。
 だいたい素人の蹴りなんてただ痛いだけでたいしたものではない。そこら辺の高校生が蹴ってきたところで、何か足を使ったスポーツか、格闘技の類をやっていないのならば、その衝撃はただ痛いだけの存在であってたいした脅威ではない。しかもそれが女性であるならばなおさらだ。
 事実、その状況に直面している私にとって、この状態はそこまで危ないものでもない。
 5人に囲まれて互い違いに蹴られているだけだ。
 それだけのこと。
 精神的なものだけでは飽きたらず、やっと実力行使に出てきたが、予想通りたいしたことはない。羞恥や汚辱に耐えるだけの覚悟は出来ていたが、正直こんな程度ならば別に問題はない。ただ、私に刻まれている傷が増えるだけだ。
「生意気なんだよテメェ」
「どんなツラして学校に来てんだ? アァ?」
 ほら。ただの馬鹿だ。結局はたいしたことも言えないアホどもの集まりだ。
 私が頭がいいなんてことは思ったことはないが、少なくともこの低脳どもよりは幾分かはましだろう。
 蹴る。蹴る。蹴る。
 いや、正確には蹴られる、か。どちらでもかわらないか。
 そうして傷ばかりは増えていく。

 生ぬるい攻撃は結局実質は10分程度で終了し、何事もなかったかのように彼女たちは教室に戻った。今回の一番の損害は制服だろう。汚れてしまったのは危ない。帰宅する前にコインランドリーで洗っておくべきだろう。
 とりあえずは、ついた泥を払い落とし、その足で教室に向かう。
 幸いなことに、授業は始まってはいたが、後ろのドアが開いている上に、眠くなりすぎる現代文の授業だったので、ロッカーの中身を取り出して帰るぐらいはできた。サボることになってしまったが、この際どうでもいいかもしれない。一刻も早く洗っておかないと時間的に間に合わなくなる。

「痛ッ」
 唐突な痛みで起きた。しばらく寝てしまったみたいだ。
 コインランドリーのベンチで長時間眠ってたらしい。時間が気になって時計を見てみたが、ぎりぎり学校が終わる時間だった。これくらいならなんとか。
 体の傷を再確認してみたが、殆どの傷は問題ない。痛みは少し残っているが、たいしたものではない。
 今洗って乾かした制服をトイレで着込み、そのまま家に帰る。
 帰宅の道のりは楽しいが帰宅してしまうことは憂鬱だった。しかし日課でもあるのだからしょうがない。義務であり、責任。

「ただいまー」
 明るく振舞ったところで家の電気は全部消えてるのだから、明るい答えが帰ってくるはずもない。今日はお母さんは機嫌が悪そうだ。
「おかえりなさい」
 お母さんの声はそれこそ仏のように、顔全面に笑顔を貼り付けて、残酷なまでの冷徹な声で私の帰宅を迎えた。
「待ちくたびれたわ。さっさとご飯をつくりなさい」
 笑顔を浮かべているお母さんは危険。それは全く逆のベクトルの感情ながら、だからこそ同じ要素をもって感情を表現するのだろう。その命令は完全に私を萎縮させる。
「分かった」
 一応生返事はしておかないと、何をされるか分からない。
「ん、アンタ」
 まずい。この声の変化は本当に機嫌が悪くなってしまった時のやつだ。
「何?」
 お母さん、とは言えない。彼女が言わせてくれないので駄目だ。この家庭では互いを呼ぶときは代名詞しか使わない。そして返事は簡潔にしなければならない。
 次のお母さんの一言で、今日は寝れなくなった。
「何でアンタ洗剤の匂いがするの?」
 ・・・ああ。
 そのことを完全に失念していた。
「ねぇ、何で?」
 ふっと、体が浮いた。一瞬の後に、吐き気と痛みと息苦しさが襲い掛かってくる。
 そこに至ってようやく何をされているかがわかった。鳩尾を蹴られた。それもつま先で。ピンポイントで。
 体が崩れ、足は用を成さなくなり、床に体が落ちる。堕ちる。
「何で、アンタからそんなにおいがしてくるわけ?」
 お母さんの顔には笑顔しかない。笑顔で蹴ってくる。
 ドスッ。ドスッ。ドスッ。ドスッ。
 機械的に。何度も何度も反復するように蹴ってくる。
「私を差し置いてアンタだけ洗濯したのかい?」
 間接の隙間、筋肉も何もないところを選んで蹴ってくる。
「まさかそんなことして許されるとでも思ったわけ?」
 昼間のバカな同級生なんかとは比べ物にならないくらいの的確さで痛みを与えてくる。
「アンタも馬鹿だわねぇ」
 蹴られる。体に刻まれたアザはちょうど制服で隠れるように、ぎりぎりの場所にしかない。それもこれも、お母さんが私に暴力を加えてることを他人に知らせないためだ。
 他人に知らせないようにしたところで傷が和らぐわけでもない。むしろ集中する傷は、常に疼き痛みを伝えてくる。
「ホントに。ホントに、ホントに、・・・・・・馬鹿だね」
 ガッ、と最後の一回は突き放すように、右肩の関節を抉るように突き刺すように、衝撃が届いた。肩が外れるかと思うほどの衝撃は全身に届いて、体は再び浮いて壁に激突する。
「さっさと飯作りなさい」
 そうとだけ捨て置いてリビングに行き、お母さんはテレビを見はじめる。
 当分の間は動けそうにない。

 何かされているときは、何も考えないで意識を飛ばして、枠の外から自分を見つめるのが、一番最適の方法だと気づいたのは、結構前のことだ。
 そうしておけば、たとえ体が傷んだとしても、心が傷つくことはない。
 そう思っていた。
 いや、正確にはそう思うことでなんとか過ごしてきた。
 それでも事実は残酷だった。それだけのことだ。
 気づいたら感情らしきものは、嫌悪感ぐらいしか思いつかなくなっていた。感情が擦り切れて何もなくなってしまったと考えるのが妥当だと思う。
 私を傷つけたお母さんは何を考えていたのだろうか。一体私の何が嫌いだというのか。
 お母さんは体に傷を刻み込み、感覚に痛みを覚えさせ、精神を傷めつけた。
 体に刻み込まれた傷は、とっくの昔に消えてなくなっているものもある。まぁあとから追加されたのも入れれば減ってはいないのだが、それでも昔の傷は昔としてなくなっていく。
 ただ、その記憶だけが私を痛めつける。心に負った傷は深く深く、何度も何度も深層部まで傷つけられ、深く深い傷になる。それが修復されないうちにつけられる傷は前の傷と重なり、絶対的に修復不可能なものになる。

 私は壊れていく。
 傷ついて、傷ついて、壊れていく。





 次の日、学校へ行くと机がなかった。
 もう何も感じない。
 しょうがない。取りにいくか。
 それだけ。
 思った。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

一日遅れのペースになりましたが、四つ目です。
虐待と自傷とどっちにしようか考えた結果、自傷はそういう項目があるのでそこでやろうということになって虐待に。
あー。女なのに書いてる文体がいつもと同じだからわかりにくいですね。
とりあえず。今日はこれだけしか無理だなあ。


ではまた。
  1. 2006/10/13(金) 18:42:58|
  2. 創作小説
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